子供の太る体質の決まり方
子供の太る体質は、3歳までに作られると言われていますが、実際には、太る体質が決まるのに重要な段階が3つあります。
なお、子供が太る体質になる大きな原因が、有名な「脂肪細胞」です。「脂肪細胞」は、一度、増えると、その後は、減ることがないと言われています。そのため、脂肪細胞が多いと、一生に渡って、太りやすい体質になってしまいます。
太る原因となる「脂肪細胞」は、正式には「白色脂肪細胞」と呼ばれます。「白色脂肪細胞」は、脂質や糖から作られる中性脂肪を取り込み、蓄えて大きくなっていきます。そして「白色脂肪細胞」が肥大化して大きくなると、分裂して、脂肪細胞の数が増えます。
脂肪細胞は、主に思春期までに急激に増え、20歳前後で約400億個になります。しかし、肥満の方の場合は、脂肪細胞は800億個程度になるとも言われています。
脂肪細部は、一度増えると、なかなか減りません。脂肪細胞に蓄えられていたエネルギーが消費されても、脂肪細胞は小さくなるたけでなくならず、中性脂肪が増えると、またすぐに蓄えます。そのため、脂肪細部が増えてしまうと、太りやすい体質が続くわけです。もし、脂肪細胞の多い方が肥満になってしまうと、「脂肪細胞増殖型肥満」となり、痩せるのが大変です。
なお、脂肪細胞の数は、成人になるまでに決まってしまい、その後は、減ることはないと考えられていましたが、それはウソです。細胞である限り、寿命はあります。ただし、「白色脂肪細胞」の寿命は非常に長く、最近の研究では、10年程度であることが分かっています。そのため、太りやすい体質になってしまった方は、太る体質を改善するのに10年近くかかると言えるかもしれません。
もし、子供を太る体質にして苦労させたくない場合は、脂肪細胞の数を増やしすぎないよう、気をつける必要があります。
赤ちゃんや子供を太る体質にしないための注意点
赤ちゃんや子供の脂肪細胞は、特に増えやすい時期が3つあります。そのため、子供を太る体質にしたくない場合は、特に脂肪細胞の増えやすいタイミングでの子育てに、気をつける必要があります。
人生の中で、脂肪細胞が特に増える時期には、次の3つの時期があります。
1.妊娠末期の3ヶ月間:母親の食事が関係する 2.乳児期の1歳まで:赤ちゃんの母乳とミルクが関係する 3.思春期:食事が関係する |
赤ちゃんが生まれる前の、妊娠末期は、つわりもおさまってきて、お母さんの食欲も増えてきます。しかし、お母さんが取りすぎた栄養は、へその緒を通じて、子供に渡ってしまうため、赤ちゃんの脂肪細胞が増えすぎてしまいます。お母さんのへその緒から、血液を通して赤ちゃんに栄養(養分)や酸素を送っているので、お母さんの血液に中性脂肪が多いと、赤ちゃんの脂肪細胞も増えやすくなってしまいます。
赤ちゃんが生まれてから、1歳までは、母乳とミルクの時期なので、母乳とミルクが関係してきます。母乳がメインの場合は、お母さんが脂肪や糖分の多いものばかり食べていると、母乳にも影響が出ます。母乳は、お母さんの血液から作られるため、お母さんの血液の中性脂肪により、赤ちゃんんの脂肪細胞が増えやすくなってしまうわけです。
ミルクの場合は、カロリーが高いだけでなく、吸いやすいため、赤ちゃんもついつい飲みすぎてしまいます。そのため、特に粉ミルクによる育児は、赤ちゃんを太りやすい体質にしてしまいやすいため、注意しましょう。
脂肪細胞は、一度増えると減ることはないため、乳児期に脂肪細胞を貯金してしまうと、太りやすい体質のまま、思春期に入ってしまいます。そのため、赤ちゃんが栄養不足にならないよう気をつける必要はありますが、特に粉ミルクによる育児の場合は、注意しておくといいかもしれません。
ちなみに、日本では、母乳で育てる育児が一般的ですが、中国では、粉ミルクで育てる育児が一般的です。中国でなぜ粉ミルクでの育児が一般的かというと、中国の場合は、両親共働きの家庭が多く、おじいちゃん・おばあちゃんに子育てしてもらうことが多いため、粉ミルクでの育児になりやすいわけです。中国では、2008年、粉ミルクに、工業化学品のメラミンと呼ばれる異物が混入されていた事件がありました。中国で起きたメラミン粉ミルク事件により、中国の乳児が死亡したり結石ができ、社会問題になりましたが、この事件による被害が広がった背景には、中国では粉ミルクによる育児が一般的だったことによる影響も大きかったようです。
思春期は、食欲が活発になるため、子供が食べ過ぎてしまいやすくなります。その結果、子供の食生活が原因となって、肥満になりやすいです。
特に思春期に太ってしまうと、その後も、ずっと太りやすい体質が続きやすいため、特に注意した方がいいかもしれません。あなたの記憶をたどってみても、中学時代に太っていた同級生は、大人になっても太っていることが多いと思います。
ただし最近では、「白色脂肪細胞」が、女性ホルモンを作る働きをすることも分かってきたので、過度な食事制限にも注意が必要です。「白色脂肪細胞」がきちんと脂肪を取り込んでいると、「白色脂肪細胞」が女性ホルモンのエストロゲンを作ってくれます。しかし「白色脂肪細胞」が脂肪をきちんと取り込んでいないと、エストロゲンを作ってくれないため、女性ホルモンの分泌が少なくなり、様々な症状が出てしまいます。痩せすぎの女性の中には、生理不順になりやすかったり、生理がこなかったりして、ホルモン剤を飲んでいる方もいるかもしれません。痩せすぎの女性のホルモンバランスの乱れの原因の一つとして、「白色脂肪細胞」がきちんと脂肪を取り込んでいないことも、原因として考えられます。
なお、成人になるまでに脂肪細胞の数が決まってしまうと、それ以上、脂肪細胞が増えることはないと考えられていましたが、それはウソです。最近の研究では、成人になってからも、脂肪細胞が増えることが分かってきたので、あなたの子供が大人になってからも、脂肪細胞が増える可能性は十分にあります。
そのため、大人になってから太る体質にならないよう、子供のうちに、正しい食生活の習慣やリズムを教えることも大切といえるかもしれません。
太る体質にならないよう、間食は与えない方がいい?
最近は、小児肥満や小児メタボ(小児メタボリックシンドローム)の方が話題となっており、生活習慣病になる子供も多いため、間食の悪い側面ばかりが取り上げられています。そのため、子供が太る体質にならないよう、過度に間食を制限する母親や父親もいます。しかし、子供には、いくつかの理由から、食事以外にも、「補食」としての間食が必要です。子供に間食が必要な理由には、次のような4つの理由があります。
1.子供はまだ消化器官が短く、未熟 2.子供は運動量が多い 3.間食は、子供の楽しみでもある 4.間食は、親とのスキンシップでもある |
1つめですが、子供はまだ、消化器官が短く、未熟なので、たくさんの食事をお腹に蓄えれません。大人のように、消化器官が全長9メートルもあれば、1日3食でも生活できますが、子供の消化器科は短いです。また、胃の大きさも、次のようになっています。
新生児:30-50cc 2ヶ月:120cc 4ヶ月:200cc 1歳:200-250cc 2歳:300-350cc 2歳半:350-400cc 3歳:400-500cc 4-6歳:550~650cc |
3歳でようやく大人と同じ胃の形にはなりますが、大人の1/3程度しか胃におさまりません。また、4-6歳になっても、大人の胃の大きさの1/2未満です。少なくとも、小学校低学年の頃までは、胃の容量も小さいため、すぐにお腹が空きます。そのため、3食の食事だけでは、すぐにお腹が空いてしまうため、子供には、「補食」として間食が必要なわけです。
2つめに、子供は運動量が多いため、必要カロリーが多いです。そのため、3歳頃になると、体重1kgあたりの必要カロリーは、大人の数倍にもなります。小学校入学後は、野球やサッカーなどをする子供と、塾通いや習い事の多い子供などで必要カロリーは変わってきますが、やはり「補食」としての間食が必要なわけです。思春期は、脂肪細胞の増えやすい時期でもありますが、一生の中で一番、必要カロリーの多い時期でもあります。そのため、子供はたくさんエネルギーを消費するので、「補食」としての間食も必要になってきます。
3つめと4つめは、子供の身体面ではなく、子供や、子供と母親のメンタル面での必要性です。良い刺激は、子供のメンタルを育成します。また、子供との好ましい関係は、社会性を育てるのにも役立ちますし、ストレスの少ない育児にもなります。
以上より、子供への間食は、必要です。親によっては、「食事を食べなくなるから、間食はなるべくあげたくない」と考える方もいるかもしれませんが、それは大人の理屈であり、子どもはすぐにお腹が空くものです。そのため、子供の間食は、大人のおやつと一緒だとは考えず、「補食なので必要」という認識を持っておくと、いいかもしれません。
赤ちゃんや幼児、子供の間食やおやつの選び方
子供の間食に必要なエネルギーは、1日に必要なカロリーの10~15%が目安になります。年齢に応じて、次のようになるため、適度なカロリー量になるように調整するといいかもしれません。
1-2歳:100-150kcal程度 3歳-小学校入学まで:140-240kcal程度 小学校入学後:生活に応じて違いあり |
小学校入学後は、スポーツクラブに入ったり、塾通いがメインになったりと、子供の生活の個人差が大きくなります。そのため、子供の生活に応じて、間食に適切なカロリー量は異なります。
なお、赤ちゃんや子供の間食やおやつで気をつけた方が良い点としては、次のようなものがあります。
1.糖分の多いお菓子だ控える 2.油脂の多いお菓子は控える 3.果物・乳製品・イモ類なども使って、バリエーションを豊かにする |
「白色脂肪細部」は、中性脂肪のもととなる糖質と脂質を取り込んで肥大し、分裂します。そのため、子供を太りにくい体質・太らない体質にしたい場合は、糖分の多いお菓子や、油脂の多いお菓子は控えた方がいいです。お菓子を子供にあげるときは、成分表示を確認するといいかもしれません。
なお、間食は、食育にも役立つよう、バリエーションを多くして、味や栄養に偏りがないようにするといいと言われています。
赤ちゃんや子供の夜食と、太る体質
日中の間食は、「補食」の意味があるため、推奨されています。しかし、夜食は、あまり良いとは考えれていません。ちなみ夜食とは、次のようなものを言います。
夜食:夕食2時間後~寝るまでの間に食べるもの |
夜食を食べると、朝はあまりお腹がすかないため、朝食をあまり食べなくなります。その結果、生活リズムも崩れやすくなるため、子供に夜食をあげることについては、否定派が多いです。
ただし、やはり子供は、消化器官がまだ未熟で短く、胃の容量も小さいため、お腹も空きやすいです。過度に夜食を制限すると、子供も空腹で辛い思いをしますし、子供がごねすぎると育児ストレスもたまりますので、子供の状態に応じて、夜食を上げるようにしましょう。